うるしおよびカシュー樹脂塗料 うるし

うるし

うるしは、うるしの木より採集される天然の樹液であり、採取の時期によって、辺うるし、盛うるし、初うるし、来うるしに分けられます。灰白乳状の液体で、特臭をもち、加熱することによって水分を取り除き、暗褐色の液体となります。その成分は、水分、ウルシオール(南方産はラッコール、チチオール)、 ゴム質、含窒素物からなっています。うるしの乾燥塗膜は硬度が高く、耐水、耐酸、電気絶縁性は大きいのですが、アルカリには比較的弱く、かつ耐候性が弱いのが欠点とされています。

生うるし

生うるしは、粗製漆液から異物を取り除いたものです。1級から4級に品質区分され、1級はもっとも良質なもので主として美術漆工芸などの高級品用として使用されています。2級品以下は下地、ふきうるし、木材の防水防腐などに用いられています。

2) 精製うるし

生うるしをかき混ぜながら加熱し、さらに水分を除いて濃縮したものを精製うるし (くろめうるし)といい、用途によっていろいろな種類があります。

3) 透きうるし

透きうるしは原料うるし液に「なやし」、「くろめ」の操作を行ったのち、固形分を取り除いたものです。「なやし」とは、精製うるしの乾燥塗膜に光沢や肉のりを与えるため、かき混ぜて練る操作をいい、「くろめ」とは、原料うるし液をかき混ぜながら、その表面に熱を与えて水分を取り除くことで、精製漆の種類によって必要な補助剤を加えることがあります。

通常の精製方法では、次の種類があります。

1.梨子地うるし

もっとも良質の原料うるし液を用いたもので、透明性を高め、黄色味を帯びさせるために雌黄などの色材を適当に加え、なやしとくろめを行って仕上げます。

2.透呂色うるし

透明度のよい原料漆液を用い、顔料または染料を加えて彩漆(いろうるし)、または木目を表わす呂色塗りに用います。

3.透難うるし

透明度の良好な原料うるし液を用い、乾性油、樹脂その他の補助剤を適当に加えたもので、塗立て仕上げに用います。

4.透箔下塗りうるし

主として金、銀、すず箔などを張りつける下地用として用います。

5.その他透中塗りうるし、透つや消しうるしなどがあり、これらの種類はともに1級、 2級があります。

4) 黒うるし

黒うるしは、原料うるし液に水酸化鉄などを加えて黒変させて作られたもので、次の5種類があります。

1.黒呂色うるし

良質の原料を用いて作り、黒色研摩仕上げ塗りに用います。

2.黒艶うるし

黒色塗立て仕上げの上塗りに用います。

3.黒箔下うるし

4.黒中塗うるし

5.黒艶消しうるし

うるしの乾燥

うるし液は乾いた空気中では乾燥(固化)せず、高温多湿時(梅雨期) のような条件でよく乾燥します。したがって、うるしの乾燥には適度の湿度を保つため、うるし風呂と称するものを用います。これは乾燥過程におけるゴミやホコリの付着を防止するにも役立っています。常温でのうるし液の乾燥は温度20~30°C・湿度70~80%の状態がもっともよく、また素地が金属や陶磁器のように加熱してもさしつかえない場合は、120 °C前後で20~30分加熱乾燥し、強固な塗膜をることができます。

図1-3 うるし風呂



カシュー樹脂塗料(ボリサイトを含む)

熱帯性うるし科植物であるカシューの実にカシューナットシェル液が含まれており、これに石炭酸、メラミン、尿素、アルキド樹脂などをアルデヒトで共重合してできた塗料です。

カシュー樹脂塗料はうるしとよく似た成分を有しており、人によりかぶれることがあります。しかし大きな相違点としては、うるしは乾燥過程において湿気を必要とするのに対し、このカシュー樹脂塗料は逆に湿気は乾燥の障害となり、一般油性系塗料と同様、自然乾燥または強制乾燥で、溶剤の蒸発にともない空気中の酸素と酸化重合して乾燥硬化します。乾燥について注意すべき点は、うるし風呂のように密閉すると揮発した溶剤がこもり乾燥が遅れることですが、この塗料は乾燥が遅いので塗装面へのホコリの付着防止のために設備を設ける必要があります。

また、うるしと同様ちぢみの欠陥も生じやすいので厚塗り、急激な温度上昇等には特に注意しなければなりません。

この塗料は、下地類、透明類、黒類、各種

エナメル類、鉄器焼付類などと種類も多く、 うるしの彩色と異なり顔料による練り合せを必要としません。しかしここで注意したいことは、うるし塗りの上にこの塗料を塗り重ね たりすると塗料が乾かなかったり、付着不良 になったりすることがことです。ただしこの

逆つまりこの塗料の上にうるしを塗る場合は問題ありません。この塗料はうるしの代用 として漆器・工芸品など、ほとんどのうるし製品の分野に使われていますが,厨房用品の内面への使用は避けるべきです。これは食品衛生法上問題があるので使用が禁じられています。

図1-4 カシューナットの実


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