流動性のある塗料、固体である塗膜に変化することを乾燥といい、塗料が乾燥する機構は、塗料の種類、組成によって表3-1のように分類ができます。乾燥をその塗料に適
した条件で進行させるために、加熱、あるいは紫外線などを照射することもあります。
3.1 エマルション塗料の造膜機構
(乾燥のしくみ)
エマルション塗料の乾燥は、単に水分の蒸発によるものでなく、水分の蒸発→エマル ・ション粒子の接近→融着という過程で膜が造成されます。寒冷時や降雨時には、水の蒸発 が遅れるため、エマルション粒子の融着がうまくゆかず、造膜しないことがあり、つや有 りエマルション塗料では、つやボケ、造膜不良などの欠陥が現われることがあります。
3.2 塗装と気象
塗料の乾燥には気象条件が大きく関係します。図3-2は気温、湿度と塗装の適否との 関係を示したもので、好ましい条件は、気温15~30°C、湿度75%以下で、これはほぼ、春、秋の季節に相当します。これではあまりにも範囲が狭いので、少し範囲を広げてみると、気温5~40°C、湿度85%以下の範囲で一応無難に塗装ができます。しかし、これをはずれた気温5°C以下、気温5°C以下、湿度85%以上の範囲では、塗料の乾燥が大幅におくれ、とくに2液形の反応硬化形の塗料では反応が進まず、期待する塗膜性能が得られなくなります。したがって厳冬低温時には、人工的な加温対策が必要です。図3-3は、気温 によって乾燥がどのように変化するのかを示したもので、冬期は夏期の3~4倍も乾燥時間が長くなります。
なお、屋外で作業を行う場合、次のような気象条件のときには、塗装作業を中止しなければなりません。
1、雨天または降雪のとき。
2、塗装後1~2時間以内に降雨、降雪が予想されるとき。
3、気温5°C以下,相対湿度85%以上のとき。
4、被塗面に結露があるとき。
5、炎天下で鋼材がやけているとき。
6、風が強いとき。
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