金属の前処理
一般に塗装される金属には、鉄鋼、鋳物、亜鉛、アルミニウム、真鍮などがあり、これらの材料は、単独または組み合わされて製品を形づくっています。
前処理の目的はこれらの金属の上に塗料が完全に密着し、丈夫な酸化皮膜を形成させるために行なうもので、これが十分かどうかで直接製品の仕上りに影響する重要なものです。前処理の方法は大きく二つに分けることができます。その一つには加工時に付着した 油やさびを取り除くこと、もう一つは、素地の表面を平滑にし、二度とさびが発生しないようにすることです。
金属の表面状態
ブレス・板金加工面
プレスによって得られる金属の加工面は、技術の向上によって比較的平滑ですが、これが手作業による加工ということになるとどうしても平滑な面を得ることが難しく、そのま
まの状態で塗装すると見苦しくなります。
つまり、塗装によって得られる塗膜厚は微々たるもので、これらの欠陥をカバーすることは不可能であり、またバテ付けによる修正にもおのずと限度があって完全な面を得ることはできません。したがって、これらの素地欠陥は、塗装する前に完全に仕上げておくこ とが大切です。
溶接面
金属の塗装によって一番問題になるのは溶接部分であり、そしてその処理方法です。
溶接部分は溶けた金属のつながりで凹凸がきわめてはげしく、また隙間や穴が多数あいています。また、溶接の際の酸化膜や溶剤の残りカス(フラックス)などが付着し、その
見るまま塗装すると塗料が乾燥しなかったり、塗料の付着性が低下することもあります。このため、溶接部分は製品の強度に影響しないかぎり、ヤスリやサンドペーパーなどですり落 し、できるだけ平滑にしておくことが必要です。
不純物の付着
金属の表面にはさびや黒皮、加工するときの機械油、ゴミホコリなどが付着しており、これらをそのままの状態で塗装すると、塗料の乾燥性を損い、また剥離の原因ともなって完全な保護皮膜を形つくることはできません。このように金属の表面は、同じ素材でもその加工法によって、またその取扱法によって、様々な様相を呈するので、これらのまた、付着物をよく取り除き、完全な素地を作ることが必要です。
前処理を大きく分けると次のようになります。
①油とり
②さびとり
③さびどめ
の3つです。
これをそれぞれ脱脂、脱錆、防錆処理といっています。
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