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樹脂塗料①

油溶性フェノール樹脂塗料

この塗料は乾性油と任意の割合で相容するので、桐油、あまに油、脱水ひまし油等と混合加熱してワニスが作られます。これによる塗料は、熱可塑性油溶性フェノール樹脂塗料と呼ばれ、特に100%フェノール樹脂を用いたものは、黄変が少なく耐水性、耐薬品性がよいので、鉄構造物や機械、重車両等の下塗りあるいは化学工場の施設、建築物などに広く利用されます。

アルキド樹脂塗料

多塩基酸(主として無水フタル酸)と多価アルコール(グリセリンおよびペンタエリスリトール)のエステルを基体として、さらに各種の油または脂肪酸で変性したアルキド樹

脂を塗膜主要素とする常温乾燥塗料をアルキド樹脂塗料と総称しています。

アルキド樹脂はアルキド樹脂塗料の主原料ばかりでなく、アミノアルキド樹脂塗料、ニトロセルローズラッカー、印刷インキ用としてもきわめて重要な原料です。

不乾性油変性アルキド樹脂は常温では硬化しないので、アルキド樹脂塗料の原料としては使用しませんが、アミノアルキド樹脂塗料やラッカーの重要な原料として使われます。


 1)アミノアルキド樹脂塗料

短油性アルキド樹脂とアミノ樹脂との混合物を塗膜主要素とする焼付け塗料で、アミノ樹脂としては、ブチル化メラミンまたは尿素樹脂が広く用いられています。性質として

は、原料樹脂の種類、配合比、焼付け条件に左右されます。例えばアミノ樹脂濃度や焼け温度が高いほど、硬化塗膜の橋かけ密度が大きくなり、かたさ、耐薬品性が大きくなります。アミノ樹脂については、メラミン樹脂は尿素樹脂に比べ一般にかたさ(焼付け条件の低下)、 耐水性、光沢性がすぐれていますが、付着性は劣ります。

一般的性質としては、①低温、短時間で焼付けができ、②塗膜は硬く、光沢がよく、③変色も少なく耐候性、耐薬品性が大きいものの、④エボキシ樹脂、ビニル、アクリル樹脂

塗料にくらべ、付着性、耐アルカリ性に劣ります。用途としては、現場塗装する大型構造物を除き、焼付け可能なものについては、下塗り、上塗りを問わず、ほとんどアミノアルキド樹脂塗料が使用されます。

 2) 酸硬化形アミノアルキド樹脂塗料

尿素樹脂に触媒である酸類を添加して硬化させる酸硬化尿素樹脂塗料は、古くから木工塗装に使われてきましたが、亀裂が生じやすいという欠点から、最近では酸硬化形アミノアキド樹脂塗料に一新されています。この塗料は、焼付け塗装に比べ、アミノ樹脂濃度が高く、酸触媒(硬化剤)の添加により、常温で硬化する二液形アミノアルキド樹脂塗料であり、不揮発分が高く、光沢、かたさ等にすぐれているので、木製家具類、下駄、 床などの透明仕上げに大いに利用されています。


合成樹脂調合ペイント

油性調合ペイントに使われているボイル油のかわりに、おもに長油性フタル酸樹脂ワニスを用い顔料と練り合せて作った塗料を合成樹脂調合ペイントといい、油性調合ペイント

に比べて、乾燥も速く、耐候性のよいことから広く利用されています。この合成樹脂調合ペイントはJIS K 5516-1983 によって規定され、一種はおもに建築物および鉄鋼構造物用、二種はおもに大型鉄鋼構造物の中塗り用、上塗り用に分けられています。中塗り用は 顔料分が多く、下塗り塗料と上塗り塗料との双方によく付着するように設計されていま

す。


フタル酸樹脂塗料

フタル酸樹脂塗料は、合成樹脂の中で最も広範囲に使用されています。この塗料は、無水フタル酸とグリセリンなどの多価アルコールと反応させ、油あるいは脂肪酸を用いて変

性した樹脂をフタル酸樹脂と呼びます。フタル酸樹脂は、油による変性が大きいものから長油性、中油性および短油性と名付けられ、フタル酸樹脂を主体として作った塗料のことをフタル酸樹脂塗料といい、変性に用いる油あるいは脂肪酸は乾性あるいは半乾性油を用い、乾燥用の触媒として有機酸の金属塩類が共用されます。光沢、耐候性にすぐれているため屋外用塗料として広く使用されています。

また、アミノ酸と併用したアミノアルキド樹脂塗料は金属用焼付け塗料としても広く用いられています。

ポリエステル樹脂塗料、不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和塩基酸(無水マレイン酸・フマル酸)と二価のアルコール(エチレングリコール、プロビレングリコール)を縮合したプレポリマーで、これをその二重結合塗料よりやや過剰のスチレンモノマーのような反応性モノマーに溶解したのがポリエステル樹脂塗料です。

この塗料は、塗装前に触媒(過酸化物)と混合する二液常温硬化形と、促進剤(ナフテン酸コバルト)を混合する三液常温硬化形のタイプがあり、これらの添加によって反応、架橋して硬化が起きます。触媒と促進剤は不飽和ポリエステルに対して1~2%の添加で 急速に硬化が進むので、入れすぎないことが必要です。また最近では入れすぎないように、種々の工夫が触媒に加えられています。またこの塗料は揮発性の溶媒が使用されていないので、100 %硬化型で、無溶剤型塗料の中に入れられています。また、一般的な性質としては次のようです。①無溶剤塗料のため溶剤の揮発がなく、一回塗りで厚い膜ができる。②塗膜は固く、耐薬品性、耐摩耗性がよい、③硬化にあたり体積収縮が大きく、付着性が悪い。 ④塗膜はたわみ性に乏しく、傷跡がつきやすく、曝露による光沢消失が著しい、 日木材の樹脂(やに、タンニン)着色剤等の種類によっては乾燥しにくく、剥離現象も起きるので、材種の選択、着色剤の選択に注意するか、またはポリウレタンシーラーかポリエステルシーラーで処理することが必要です。

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