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脱 鏡(ケレン)

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脱 鏡(ケレン)

金属といえば鉄というほど、鉄は私たちの生活に密着しています。自動車、車両船舶、電気製品等これらはすべて鉄を主体として作られていますし、鉄橋に歩道橋、ビルやホテルの構造材に至るまで鉄であり、こうした私たちの日常生活は鉄によって支えられているといっても過言ではありません。

しかし、鉄は空気中に放っておくと、空気中に含まれている酸素や水分の影響によって、次第におかされて、さびとなります。

このさびはそのままの状態で塗装すると、一見美しく仕上がったように見えても、さびはさびを呼んで、いつしか認くなります。それゆえ、塗装するにあたってはこのさびをよく、取り除き、長期間さびが発生しないようにすることが必要となってきます。

このさびを取り除く方法をさび落しといっており、大きく二つに分けることができます。その一つは、手や機械を使って物理的に衝撃を与えて取る方法ともう一つは薬品を使って化学的に取る方法とであり、図5-7に示すように細分されています。

このさび落しの分類のうち、どの方法を用いるかによって作業時間、塗装工程、使用する工具類や設備が異なり、また製品の仕上りやコスト面にも大きく影響してきます。

また、金属表面の荒さは、そのまま塗り回数にも影響しますし、また美観にもつながっ てきます。例えば、金属の表面がきれいな磨き鋼鈑であれば、脱脂→水洗→防錆→中塗り といったようにスムーズに行きますが、素地肌が悪いと、脱脂→水洗→脱錆→水洗→防錆 →プライマー→パテ→パテ研ぎ→サーフェーサー→研ぎ→中塗り、などと数多くの工程を経ないときれいにはなりません。




さび落しは、サンドブラストやスクレーバーでやるのと、酸液で処理するのとでは粗さの違いは大きく、何でも薬液で処理できるわけではありません。数多い被塗物の中には大きすぎて薬品処理のむずかしいものもあります。

そこで、さび落しを行なうにあたって、考えなければならないことは、どのような方法 が製品にふさわしいか、また製品の形状、材質、さびの発生程度、どの程度の仕上げが要

求されるのかが要因の一つになります。

これらの点をよく考えたうえで、自社工場の技術水準を中心にして、その前後の生産工程などとともに方法を決めるようにしなければなりません。

5.6.1 物理的な方法

この方法でもっとも簡単な方法は、サンドペーパーやワイヤープラシを使って行う方法ですが、この方法では完全なさび落しはできず、非能率的であることから考え出されたことが、機械的に処理する方法で、次のようなものがあります。


ブラストによるケレン

一般に砂吹きといわれ、鉱石の粉末や川砂などを圧縮空気で処理物に吹きつけてさびなどを取り除く方法で、クリーニングのことです。我が国ではこれが転化してケレンとも言われています。

このブラストの目的は、脱錆の項でも述べていますが、被塗物上のさび、油脂、汚れ、その他の付着物、防錆性に有害となる物質を除去し、さらに塗膜が付着するのに有効な表面あらさを付与することです。またプラストの程度は、塗膜の付着性、防錆上重要なことで、各所でそのグレードが規定されています。

これらのグレードの判定は、機械による判定ではなく、目視判定を行います。しかし、それでは個人差が大きいことが考えられるので、見本写真を作成し、比較対照して判定することが多く行われています。

また、新しい鉄面塗装などは、ブラスト処理でケレンが行なわれていますが、そのブラ ストも施工条件によって仕上げ程度が調整されています。




塗替えの場合のケレン法

同じケレンでも塗替えの場合は少し違ってきます。塗替えの場合の施工(鉄鋼構造物など)は現場で行われることが多く、したがって施工中はその現場において何らかの影響を受けることが多くなります。たとえば、海岸なら海塩粒子、工場地帯なら酸性ガスなどが付着し、きれいに鉄面が露出していても、すぐにさびが発生します。また、全部の塗膜が死膜化していることもあります。活膜が残っていることも多いので、この活膜は除去せず、清掃して塗り重ねていく方が経済的であり、耐久性の伸びることも期待できます。ただ、塗替えケレンでも、さびの発生部分は十分にさびを除去しなければなりません。


動力工具によるケレン法

コンプレッサー、電動機などの運動エネルギーを利用して、ケレンする方法で、ジスクサンダー、エアハンマー、ポータブルグラインダー、ワイヤーブラシなどの工具を使用しますが、ブラスト法ほどきれいにはなりません。また、鉄構造物などの空隙部、隅角部など、十分処理できない部分は、手工具を併用します。


手工具によるケレン法

スクレーパー、ハンマー、細ノミ、鋲カキワイヤーブラシ、サンドペーパーなどを併用し、人力によってさびを除去する方法ですが、固着したさび、黒皮などは取れにくく、また作業能率も悪くなります。


その他の方法

液体ホーニングによる方法・スケーリングマシンによる方法・バレルによる方法などがあります。次ページの各表は各種素地調整の長所、短所、並びに塗り替え時の塗膜の劣化度、鉄面素地ごしらえの工程を示したものです。









 
 
 

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