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セルロース塗料

NCラッカー(ラッカー)

乾燥の速い溶剤形塗料を一般にラッカーと総称します。油性塗料やほかの多くの合成樹脂塗料では、塗液(生塗料)の塗膜主要素の分子量と塗膜とはだいぶ違います。すなわち、このような塗料は塗液中ではプレポリマーで、乾燥または硬化した塗膜の分子量は、橋かけ反応により無限大に高分子化します。そのため形成された塗膜は塗液中の溶剤には溶解しません。これを橋かけ塗料と呼んでいます。

これに対して、ラッカーは、塗膜主要素の分子量は十分大きく、単に溶剤の揮発のみによって連続塗膜を形成します。したがってラッカーは一般に強溶剤の溶液によって、いったん形成された塗膜もその溶剤で再び溶けます。

ラッカーは塗膜形成要素の種類によって、ニトロセルローズ (NCと略す)、アセチルセルロース、エチルセルロースラッカーなどの繊維素誘導体ラッカーがあります。また、各種ビニル樹脂アクリル樹脂などの合成樹脂を主原料とする塗料をそれぞれビニルラッカー、アクリルラッカーなどと呼んでいますが、単にラッカーといえばNCラッカーをさします。

このNCラッカーは、硝酸繊維素(硝化綿)アルキド樹脂、可塑剤に溶剤、希釈剤を配合して溶解し透明にしたラッカー(すなわちクリヤラッカー)で、透明ラッカーに顔料を混合して不透明にしたものがラッカーエナメルです。

ラッカーは速乾性で、塗膜は比較的付着性がよく、耐水、耐油性にも優れていますが、 欠点としては塗膜が薄く、かつ耐候性に劣るので、多くの場合は下塗り工程を必要とします。また、この塗料は速乾性であるため一般にはけ塗りが難しく、したがってスプレー途塗希装を行なうのが普通です。スプレー塗装をする場合は、ラッカーをラッカーシンナーで希釈して使用します。希釈率はラッカーの粘度や気温、塗装機種によって異なってきます が、一般に容量比で等量の割合に希釈します。ラッカーは溶剤が蒸発することにより、乾燥塗膜を形成しますが、ときには、くもりや白化(ブラッシング)が起きます。これは溶 剤が蒸発するとき多量の熱を塗膜や周囲の空気からうばい塗膜が急冷されるために起きます。これは特に高温多湿のときに起こりやすい現象であり、このような場合は、リタダー シンナーをシンナーのかわりに(約10%混合)用いることにより防止できますが、乾燥は やや遅くなります。ラッカーは木部、金属塗装どちらにも使用できますが、特に家具類その他の木製品に多く使用されています。またラッカーエナメル仕上げはその欠点をなくすため、多くの場合ラッカー系下地(ラッカープライマー、ラッカーパテ、ラッカーサーフェーサー)で下地調整し、付着の良好な平滑な塗面を作った上にスプレー塗装で平坦な美しい塗膜を完成させます。


ハイソリッドラッカー

ハイソリッドラッカーは、塗膜を形成するニトロセルローズ(硝化綿)、 メラミン樹脂

(フタル酸樹脂)および可塑剤の含有量を普通のラッカーより多くしたもので、多くはメ

ラミン樹脂を用いることから、常温メラミン樹脂塗料とも呼ばれています。そのためラッ

カーに比べ不揮発分が多くなっているので塗膜は厚くつき、塗装の能率を高め、経費も節

減でき経済的です。また樹脂分を多量に含有しているので、塗料の乾燥はやや遅くなりま

すいが、弾力性のある塗膜を形成し、かつ耐候性も良好です。乾燥は常温乾燥でも低温加

熱乾燥でもよく、主として機械器具、家電製品、木工品などに多く使用されています。

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